「平和の鐘寄贈」

2010年10月4日

「爆弾の鐘はもういらない。僕らの学校に平和の鐘が鳴り響く。」

隣国の戦争の影響、そして、その後に続く30年の内戦の負の遺産である地雷と不発弾は、戦争が終わり、平和の訪れたカンボジアの大地を今なお脅かしています。

カンボジアでは総国民の約40%が15歳未満の子供たちです。その子供たちが、日々笑顔で通う学校には、かつての戦争の残存物の不発弾の残骸を始業の鐘代わりにして使っている学校が多数みられます。

その子供たちは戦争を知りません。この鐘になっている爆弾がどんなにすさまじい威力で爆発するのかを見たことがありません。ですから、このように 学校で日々、爆弾を叩いて鐘代わりにしているのを見ると、なんだか爆弾は叩いても大丈夫のような気がしてきます。でも、田んぼの中で、本当に爆弾を見つけ たときに、それは絶対に叩いたり、触ってはいけない危険なものなのです。 

私たちJMASは、カンボジアのCMACとともに2002年からカンボジアの大地から不発弾を回収し、処理してきました。今までに処理した不発弾 は、約20万5千  発(2010年8月末現在)にのぼります。それでも、今なお、カンボジアの大地には多くの不発弾は残存し、はじめての教育を受ける小 学校でさえ、このように爆弾を鐘代わりにして使用しているところもあるのです。 

日々の不発弾の中で、私たちは、弾薬が抜かれ、もう爆発する可能性のない爆弾の殻もすべて回収してきました。時には村民が、不発弾の殻をココナッ ツ割の道具にしていたり、ランプの代わりにしていたり、鉄を打つ鉄床にしていたりしますので、生活に支障のない範囲で回収させていただけるものは、すべて 回収して処理してきました。あとから誰かが真似て、不発弾をいじって怪我をしたり、死んだりするようなことがあってはならない、そう思い、この国から爆弾 の形をしたものは、爆発しないものでも、回収したいのです。 

日々回収に専門家と隊員が田舎の村々を回り、明日を担う小さな子供たちに不発弾の危険を説いて歩いているいるときに、田舎の多くの小学校が、不発 弾を吊るして始業の鐘にしているのを見ました。平和になりつつある小学校には不似合いな光景です。ある日、一人の専門家が市場を歩きまわり、自分のお金で 骨董品の鐘を買い、それをその小学校に寄贈しました。鐘を寄贈するととともに、爆弾の鐘は回収させてもらいました。

 不発弾は、見つけても、触ったり叩いたり、いじったりしなければ、事故は起きません。不発弾を見つけたら、速やかに先生や、村の役場の人や警察に 通報すれば、やがて回収してもらえます。カンボジアにまだ残存している不発弾を全部取り除くまでには、まだ長い年月とたくさんのお金がかかりますが、一人 一人が、「不発弾に触らない」決まりを守り、注意をすれば、事故は防ぐことができます。大切な手足・体を危険から守ることができます。ですから、私たち は、この平和の鐘に、「不発弾に触らないで。」という言葉を彫りこみました。

この貴重な御支援を下さった国際ロータリー第2580地区東京お茶の水ロータリークラブの皆様の温かい想いをこの鐘に永久に残すため、ロータリー クラブのマークと名前も鐘に彫りこんでもらいました。職人さんが一つ一つ彫るので、時間がかかりましたが、最後に仕上がった鐘は、美しい音が鳴り響き、カ ンボジアの安全な大地に子供たちが笑顔で走り回る、平和の光景が目に浮かぶようなものになりました。 

2010年9月29日、私たちはまもなく活動の終るコンポンチャム州で、この「平和の鐘」を5つ寄贈しました。そのうちの2つは、コンポンチャム州のフン・ネイ州知事を経由して渡していただくことになり、知事に寄贈してきました。

 

 鐘に彫り込まれた「不発弾に触らないで」というクメール語を見て、「この鐘が持つ意味は大変すばらしいですね」とおっしゃってくださいました。 

 更に、同日に、高校に1つ、小学校に2つの鐘を寄贈しました。

ステントロン郡のステントロン高校(学生数1,047名)での鐘の寄贈には、CMACのオム・ポメロー副長官も同行され、日頃の活動のあれこれを語り合いながらの寄贈の旅となりました。

  

30年間鐘として利用された爆弾(約100キロ)が回収され、美しい鐘に代わりました。校長先生も嬉しそうに鐘を鳴らしていました。「早く回収してあげたい」と言っていた古賀専門家も嬉しそうです。 

さらに同日の午後に、プレイ・チョウ郡のメー・ミアン小学校(児童数1,355名)で、爆弾の鐘を回収し、平和の鐘を寄贈しました。

 

贈られた鐘には、不発弾事故の根絶と、時間を守ることの大切さを子供たちに知ってもらいたいという願いが込められています。

爆弾ではないきれいな鐘を初めてみた子供たちは、「うわぁ、鐘だ!」と喜んで、押し合いへし合い、鐘の音を鳴らしていました。 

この日コンポンチャム州での最後の寄贈は、チューン・プレイ郡のスダウンチェイ・マリー・ラナリット小学校(児童数498名)です。

  

ここでは、子供たちの喜び以上に、長い間戦争をくぐりぬいて生きてきた御年配の校長先生の喜びの顔が印象的でした。

 

皆で交代に鐘を鳴らしては、校内に響きわたる平和の音色に歓声があがりました。 

 不発弾の事故は、不発弾を回収して処理するだけでは、防ぐことができません。カンボジア国民全員が一丸となって、不発弾に触らないように注意をす ることが大切です。学校の先生や村の大人は、子供たちにそれを教えていく必要があります。カンボジアの人達が、自分たちで自分たちの安全を守って自らが平 和を築いていくことが大切です。この平和の鐘が、末永くカンボジアの大地に美しい音を響かせ、子供たちの暮らす平和の大地を守ってくれることを願います。

 そしてまた小学校に鳴り響くこの鐘が、カンボジアの発展とともに、「時間を守ることの大切さ」をも伝えてくれることを期待します。カンボジアの田 舎では、昔から鶏の鳴き声と朝日とともに起きて、夕日とともに1日を終える素朴な日々が続いてきました。時間という観念もあまりありませんでした。でも、 これからは、世界のほかの国々と同じように時間という観念をしっかり持った子供たちが、発展して行くカンボジアの明日を支えていくことができるようになる ことを願います。 

 JMASはまだこれからもこの「平和の鐘」を作って、カンボジアの大地から爆弾の鐘が根絶できるよう、この平和の鐘を配り続け、不発弾事故の危険回避教育の一端を担うことができるように、皆さんに支援を呼びかけていきたいと思います。

 

国際ロータリー第2580地区東京お茶の水ロータリークラブの皆様、本当にどうもありがとう!

 この度は、この貴重なご支援を下さった、そして継続して毎年毎年温かいご支援をいただいている国際ロータリー第2580地区東京お茶の水ロータリークラブの皆様に、心から感謝の思いでいっぱいです。本当にどうもありがとうございました。

各鐘の寄贈の際には、不発弾事故の危険を回避するための啓蒙パンフレットや啓蒙Tシャツを配布しました。

 

啓蒙パンフレットは、日本外務省のNGO連携無償資金協力を通じて作成しているものです。日本政府、外務省、在カンボジア日本大使館、そして日本国民の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

「小さな僕も、なんだかよくわからないけど、お兄ちゃんたちと一緒にありがとう!」 

なお、このニュースはCMACのホームページのニュースレターにも紹介されています。

 

報告者:佐藤 佳子

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