新たな地区への危険回避教育等を開始(カンボジア・コンポンチュナン州)

2014/04/22

新たな地区への危険回避教育等を開始(カンボジア・コンポンチュナン州)

2014年1月末、カンボジアのコンポンチュナン州コンポンレン郡で不発弾による痛ましい事故が発生しました。家の仕事を手伝って牛追いをしていた 子どもたちが、不発弾を見つけて太腿の上に置いて叩いて遊んでいるうちに爆発。10歳と12歳の男の子2人と10歳の女の子1人が亡くなりました。米国製 の60mm迫撃砲弾が爆発したものです。
JMASは、2013年度からコンポンチュナン州に不発弾処理専門家の事務所を置き、不発弾処理及び危険回避教育を実施しています。同州には8個郡ありま すが、6個郡にCBURR要員(Community-based Unexploded Ordnance Risk Reduction:不発弾に関する情報収集と不発弾処理チームの案内及び危険回避教育を実施)を配置し、毎日活動しています。今回事故の発生したコンポ ンレン郡と、JMASが担当している6個郡との間には大きな川があり、移動には車両を輸送するフェリーが必要です。過去の事故発生件数に基づく活動の優先 順位や、移動手段が限られていることから、これまでJMASはコンポンレン郡で活動したことはありませんでした。CMACも同郡では、定期的な活動をやっ ていません。いわば、不発弾処理活動や危険回避教育に関しては、取り残された地域だと言えます。

コンポンレンの位置(地図出典:英語=Gecko Maps社、日本語=クロマーマガジン)

今回、CMACからも要請があり、JMASとして活動を始めました。コンポンレン郡での初めての危険回避活動及び不発弾処理活動について紹介します。
1 移動
コンポンチュナン市のはずれにある船着き場からフェリーでコンポンレン郡の船着き場まで移動します。フェリーは、車両2両を積載できるものですが、乗客用 の設備は何もありませんし、救命胴衣等の安全装具も全く装備されていません。乾季で水量も少なく穏やかな川を約40分かけてコンポンレンに到着しました。

  フェリーボートへ車両2台を積載         川を行き来する小舟

2 危険回避教育
船着き場から警察署に行き、警察官に小学校へ案内してもらいました。JMASが活
動している郡にはCBURRが配置されていて事前に学校等と調整してくれるのですが、コンポンレンにはCBURR要員がいませんので、JMASスタッフが学校との調整に臨みました。
最初の小学校では、危険回避教育時に配ったポスターとノートに載っている不発弾の写真を見て、さっそく2人の子供が不発弾に関する情報を教えてくれまし た。1人の男の子は、「お寺の境内で友達と遊んでいる時に不発弾を投げつけられた」と、我々を現場に案内してくれました。もう一人の男の子は、不発弾が捨 てられている場所へ案内してくれました。

小学校での危険回避教育       不発弾の捨てられている場所へ案内

小学校での教育の後、村で危険回避教育を行いました。村の広場や道路脇に村人や子どもたちが集まってきましたが、みな不発弾に関する話を聴くのが初めてなので、非常に真剣に聴いていました。

   村の広場での教育         道路脇での啓蒙

午後、事故で亡くなった子供達が通っていた小学校で、村長や村人も加わり危険回避教育を実施しました。学校から200mしか離れていない場所で起こった事故の直後ということで、みな真剣な表情でした。

     村人も参加            啓蒙VTRを見る子供達

3 不発弾処理活動
同地区では、不発弾に関する積極的な情報収集活動が行われてこなかったため、不発弾発生時の状態のままで長年放置されたものが散見されました。また不発弾等の存在を示す危険標識(赤地に白のどくろマーク)も無く、警察官等が手製の標識等を作成して標示していました。
(1)20ポンドクラスター爆弾
20ポンドクラスター爆弾及び収納装置が、村人が通行する道の脇に、落下した時の状態のままで放置されていました。

落下した状態のままで発見         掘り出されて爆弾と収納装置

(2)木の上で取り出せないロケット弾
菩提樹の木の約5mの高さの所にロケット弾(ロシア製PRG-7)を発見しましたが、弾頭部が木に包み込まれてしまっており取り出すことはできません。お そらく20年ほど前に不発弾を見つけた人が、弾頭部を木の穴に入れて放置したものが、木の成長に伴ってこの状態になったと思われます。取り出すことができ なかったので、木の上で現地爆破しました。

(写真左)約5mの高さにあるロケット弾  
(写真右)木の上で現地爆破(準備状況を上方から撮影)

(3)竹の根に絡まって取り出せない81mm迫撃砲弾
住居から約5m離れた所にある竹の根株を焼いた時に発見したものです。住居が近いため現地爆破できないので、ノコギリと斧を使って慎重に取り出しました。

竹の根に絡まった81mm迫撃砲弾       応急的に作成した危険標識

今回の活動を通じて、改めて危険回避教育の重要性と継続的な不発弾処理活動の必要性を感じました。今後も定期的にコンポンレン郡での活動を実施していきたいと思います。
        報告者: 野田 宜嗣(コンポンチュナン不発弾処理専門家)