パキスタン報告(11~20)

2015/3/23

pakistan No11

2010/2/5

JMASパキスタン
 現地代表 筧 隆保

住民訓練

2月3日カカライ村において、水道組合に対し水道施設の維持・補修訓練を行いました。水道施設は住民が参加する水道組合が維持・管理を行います。そのためのノウハウを水道組合に教え、地域の財産として水道施設を末永く守ってほしいと思っています。

主な訓練内容は、水質検査要領、水タンクの清掃要領、水道用パイプの補修要領です。
最初、代表の私から、この水道施設は日本国民からの贈り物です。どうか皆さんの手で、しっかりと守っていただきたいと挨拶しました。
ついで、建設会社デイソンから、それぞれの訓練内容について説明があり、住民の方に実際にやってもらいました。
最後に水道組合長から、日本国民、JMAS及びデイソンに対して感謝の言葉があり、自分たちの手で、この施設を守っていくことを誓ってくれました。
代表挨拶 事業の成功を願うお祈り
説明書配布 水質検査要領説明
タンククリーニング用薬剤の説明 パイプの接続要領説明
実際に水質検査をする水道組合長 パイプを接続する水道組合長
水道組合の人々との記念撮影

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Pakistan No12

2010/2/19

JMASパキスタン
 プログラム・オフィサー
櫻井 佑樹

ありがとう!日本国民のみなさん!

 カカライ村のタンクが完成後、引渡し式も終了し、水道の維持管理の技術移転教育を住民に行っていますが、今回は完成後の普段の様子を見に行きました。
今まで、片道数km~数10kmを数時間かけて、水源地ま でいって水を汲んで来た作業が軽減されます。村にある公共の土地(学校やモスク)の近くにサブタンクを設置して、そこで汲めるようになりました。そもそも 水汲みは女性や子どもたちの仕事で、彼女らの仕事が減り、子どもたち特に、学齢期の女の子たちは水汲みの時間を勉強などに使えるようになり、学業にも集中 できるようになったそうです。

 

 

(サブタンクの前にて)

 家の手伝いでしょうか?子どもたちが、水を汲みに来ていました。また私たちが彼のそばに寄ったら、周りにいた子どもたちも寄ってきました。私たちが訪れた時間帯は、女性たちは家で食事の準備が忙しい時間帯でした。                    

(水を汲む子どもたち) (タンク前に来た子どもたち)

  村では私たちが訪れる数日前には、雨がたくさん降り、降った後はメインタンクからあふれるほど水が溜まったようです。現地の話では、村人の飲み水のほか、 農業や家畜へも水が使えるようになり、食料の生産性の向上、また冠婚葬祭時に、水を買っていたけれど、今は水を買わなくてもいいということ。さらには、村 出身の子どもたちが首都イスラマバードまで勉強に行っている家庭では、夏休みに子どもたちが家に戻ってくるようになったと言っています。

(タンクから溢れる水)
 この設備を末永く、村人が自分たちの手で維持してもらえることを願ってやみません。
最後に、改めて日本国政府および在パキスタン日本国大使館のご協力に感謝します。
また、何よりも、日本国民のみなさん、ありがとうございました。

シュクリア・メルバーニ!!

Pakistan 12

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Pakistan No13

2010/3/17

カカライ村の水道施設の状況
                    

現地代表 筧 隆保

カカライ村での水道施設の完成から4ヶ月が経ちました。利用状況の確認のため、学校の近くに 建てられたサブタンクの様子を見てきました。サブタンクが建てられる前までは、学校の生徒が交代で水源まで水汲みに行っていましたが、現在は学校の校庭ま でパイプが敷設され、必要なときにサブタンクのバブルを開けて、学校まで送水されます。学校の先生も子供達が授業に専念できると感謝していました。

    

水汲みに来た近所の子供   子供に話しかける櫻井PO
  

学校の校庭に敷設された水パイプ(サブタンクのバブルを開くと送水されます)


授業中の子供達(男女は教室の両角に離れて勉強していました)


別の教室では試験中でした。(カンニングを防ぐため間隔を広くしています)

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Pakistan No14

2010/4/29

パキスタンの生活

JMASパキスタン事務所
プログラム・オフィサー
櫻井 佑樹

 現在、パキスタンでは エネルギー不足が全国的に深刻です。電気・ガス・水道とありますが、特に、電気不足と水不足は深刻です。電気は、イスラマバードでは各区画ごとで停電の時 間は異なりますが、おおむね、1日に6時間前後です。パキスタンのほかの都市では、20時間程度に及ぶ地域もあるそうで、全国でエネルギー不足に対するデ モが毎日のように行われています。また、パキスタンの地元経済に大きな影響を与え、たとえば工場の経営者も労働者も生産性があがらないということでデモに 参加しています。
   パキスタン政府も省エネを呼びかけ、大統領官邸をはじめ、各役所が率先して省エネを実践しているようです。商店も20時以降は営業してはならないと 政府からの命令もありますが、仕事帰りの人たちが職場から買い物に立ち寄りたいのにできなくなってしまうということで、反対も多いです。
   それでも、電気くらい多少なくても、たくましく生きているパキスタン人です。
   しかし、水不足は彼らの生活にも大きな影響を与えています。水は電気よりも大切であり、人が生きていく以上、必要不可欠なものです。イスラマバード のインフラ整備を担っている役所であるCDA(イスラマバード首都圏開発庁)からの水道の供給量も減っています。そこで、私たちの現地スタッフは井戸を掘 るなど対策を講じているようです。
   イスラマバードへの水を供給する水がめは、シミリーダムと、この湖(湖の周りには公園があり市民の憩いの場)です。

    

 (CDA管轄下にあるイスラマバードの水がめの1つ)

写真に見える赤土の部分はかつては水の下だったそうです。
イスラマバードでもこのような状況であり、地方の村に行けばなおさらです。そのような状況の下でJMASパキスタンは事業を行っています。少しでもパキスタンの人々のためにこの水道改善事業が、また別の村で、継続できることを願っています。  

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Pakistan No15

2010/6/2

第2次水道改善事業のスタート

JMASパキスタン事務所
内之浦法昭

 パンジャブ州マリー地区郊外水道改善事業(第1次)が関係各機関のご支援を得て、無事に終了しました。第1次事業のカカライ村等での実施と併せ て、第2次事業をラスコタール村及びガヘル村で実施するための準備、申請を行ってきましたが、ついに2010年6月1日に、在パキスタン日本国大使館と JMASとの間でNGO連携無償資金協力の贈与契約が無事に締結されました。

 

これまでの関係各機関のご支援に御礼を申し上げるとともに、今後とも、ご指導を賜りますようお願い致します。
JMASパキスタンは、スタッフ一丸となって、第2次事業も無事に完遂することに努めて参ります。

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Pakistan No16

2010/6/30

住民との会合

JMASパキスタン事務所
プログラムオフィサー
櫻井 佑樹

 水道改善事業の第2次がスタートし、工事の前に、住民と最終調整を図るため、会合をもちました。具体的には、住民からの変更事項が技術的に可能な のか否か、また予算内におさまるのか否かを判断してもらうために、施工会社の土木技師も同行してもらいました。また、JMASパキスタンが事業の実施にあ たり、住民に遵守してもらいたい事項に誓約してもらいました。

(説明する施工会社の技師)

住民からは、タンクの位置の若干の変更とパイプの素材について質問がありました。パイプの素材については、次回サンプルのパイプを持って来てもらうことで了解を得ました。

(要望を伝える住民) (集まってきた住民たち)

 ラス・コタール村およびガヘル村の住民のみなさんからは、日本国政府、在パキスタン日本国大使館、そして日本の国民の皆さんへの謝意がひっきりな しに述べられていました。JMASパキスタンはこれからも、援助の直接の実施団体として、日本国政府および日本の国民の皆さんの代わりにパキスタンの村の 人へ支援していきたいと思いますので、ご支援宜しくお願い致します。

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工事現場の視察

~ラス・コタール村~

JMASパキスタン事務所

プログラム・オフィサー

櫻井 佑樹

パキスタンでは、昨今大雨が降り続き、全国的に洪水の被害が相次いでいます。幸いJMASのプロジェクトサイトは、平野部でないために洪水の被害は ありませが、プロジェクトサイトまで行く道には、道路の脇の崖から落ちたと思われる大きな石が転がっていたり、大雨の影響で、地盤が緩み道路が陥没してい る所が見受けられました。この雨の影響で工事の進捗はやや落ち、また、イスラム教国の宗教的な行事であるラマザンの期間とも重なり、ゆっくりではあります が1歩ずつ進んでいました。

修繕された既存のタンク

工事は、建設会社の報告によると、水源地の工事は終了しています。今回は残念ながら天候の影響で水源地へ向かうことは危険との判断から見送りました。水源地からのパイプは埋設されており、メインタンクが完成すれば、パイプは接続されるでしょう。

建設中のメインタンク

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2010.10.1

 -水源保護タンクの完成-

JMASパキスタン事務所

プログラム・オフィサー

櫻井 佑樹

 

 イード休暇で、工事の進捗がゆっくりでしたが、休暇を終え、仕事に復帰した人が工事を再開し、いつものペースが戻っていました。ガヘ ル村およびラス・コタール村では、水源地を保護する工事が終了、水源保護のタンクが完成し、またラス・コタール村のメインタンクも完成していました。

 
 
 
 
水源地への道
水源タンクにて現場指導中の代表
水源地で休憩する村人とJMASスタッフ
水源地への道
 また水源地からは、パイプの埋設工事が行われていました。作業員の人が、つるはしとシャベルを持って、岩や石の多い土壌を工事していました。
 
 

水源地からのパイプ埋設工事

村人は代表が訪村されているということを聞きつけて、是非話したいとの要望があり会合を持ちました。

会合の様子

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2010.12.2

-タンクの完成 ガヘル村編-

JMASパキスタン事務所
プログラム・オフィサー
櫻井 佑樹

ガヘル村ではタンクが完成していました。一部のタンクにはパイプも接続され、私たちが村に視 察に行った際も、完成を待ちきれない村人の女性が使用していました。あとは、業者による、水の漏洩検査と残りのタンクとパイプを接続するだけの作業となり ました。水を汲みに来た女性は、このタンクのお陰で、家事が楽になったこと、日本政府そして、日本の皆さんにお礼を述べていました。また、このタンクの下 には、学校があり、学校の生徒たちも水へのアクセスが容易になりました。

タンクに水を汲みに来た村の女性

水を運ぶ女性

白い建物はタンクのすぐ下にある学校

パイプの接続を待つタンク

タンク前のステンレス製の箱は、配水管の保護のために設置しています。

配水管の保護のために設置しているステンレス製の箱

 すべての工程が完了した後には、「日本の皆さまから」という一文を英語と、現地の言葉であるウルドゥ語でタンク壁面に書きます。

タンクからの水の様子を確認する筆者

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2010.12.22

カカライ村

~第1次水道改善事業のその後~

JMASパキスタン事務所
プログラム・オフィサー
櫻井 佑樹

 第1次の水道改善事業で完了したカカライ村へ、事後調査のために現地へ向かいました。モスク前のタンクには水道組合が作成した注意書きが貼ってあ りました。内容は、水を大切にすること、タンクの前では水壷を洗わないこと、使用後は必ず蛇口をしめること、冠婚葬祭時は自分でホース等を用意し蛇口に接 続して自宅までつなげてよい。などと書いてありました。サブタンクにはオーバーフロー用のパイプを付けていますが、村ではそのパイプをモスク前の洗面所に ある大きな青いタンクに接続し、村人の一滴の水も無駄にしない、という気持ちが伝わりました。

モスク前のサブタンクと水道組合長

サブタンクに貼られている水道組合の貼紙

JMASの水道改善事業は、女性の労働の軽減など、事業の目的達成の他にも生活の改善点が散見されました。例えば、モスク前のトイレと、洗面台で す。モスクで礼拝する前に、イスラム教徒は必ず、手足と顔を洗い、頭も洗います。これをしなければお祈りも、モスクに入ることさえ出来ません。イスラム教 徒にとっては水は、生活の水、人が生きるために必要な水と同じ位、彼らの宗教的な文化に密着しています。

モスク前の洗面施設

 村の学校では、スタンダード7の生徒さん(中学1年生相当の学齢)から、日本政府とJMASそして、日本国民の皆さんへ学校生活で水汲みの必要が なくなり、学業に専念できることへのお礼を述べていました。十分な校舎もありませんが、生徒さんはみな、青空の下で勉強していました。

学校を代表する生徒さんと話をする筆者

中学1年生の学齢相当クラス