現地での1日の活動の様子
乾季も終盤、酷暑の乾季になっています。
基本的には雨が降りませんが、プレイベインでは3月10日久しぶりにまとまった雨が振りました。 |
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毎朝、6時半に国歌斉唱、敬礼の前に鈴木専門家が隊員一人一人の顔色、表情、服装をチェックします。 健康状態や精神状況、気の緩みなど一瞬にして観察し、本日の行動の始まりとします。 チェックが終わると隊員によるカンボジア国家斉唱、鈴木専門家による日本国家斉唱と続き、最後は両国の国旗に敬礼をして一日がスタートします。 |
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2,3年前に見た不発弾の回収を依頼してきた村人(コンポンリウ郡)の民家の庭での回収作業です。 住人が「15センチぐらいの爆弾のようなものを以前見たが回収していないので事故がおきるのが心配だ」と訴えました。 指摘のあった場所を慎重にスコップで掘っていきますが、掘れども掘れども出てくるのは鉄くずばかり。 「誰か持っていったりしませんでしたか?」 「いいえ、危ないのでだれも近づきませんよ」隊員と村民の会話が続く中、捜索作業も続きます。 鍬で硬い土を掘り起こす隊員の顔が真っ赤になり、汗が噴出しています。 なかなか出てこないので村民も不安がつのります。 「雨季の雨でどこかに流れて移動したかな、また今度雨季がきたらもっとどこかへ移動したら怖いな」。 集まってきた近所の村人からも次々に質問が飛び出しました。 「このまま見つからなかったら不発弾は古くなってどうなるのか。」 隊員は、手を休めることなく、そういった質問にも答えていきます。 鈴木専門家も必死で隊員と交代で鍬で土を掘り起こします。 「村人の不安を解消するために、なんとしても探すんだ!あきらめるな。」 鈴木専門家の熱い想いと、必死の姿勢に隊員も汗を飛び散らして捜索します。 金属探知機で探知しながら掘ること40分、ついに地中に潜った105mmりゅう弾砲の外側の部分(一部)が見つかりました。 村人の顔にようやく安堵の表情が浮かび、隊員と鈴木専門家は笑顔で民家を後にしました。 |
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庭から掘り出された105mmりゅう弾砲の外側の一部。 |
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現在、プレイベイン州ではあちこちの主要道路を補修中です。 そんな中、土をリヤカーより少し大きめの荷台に積んで持っていくと4000リエル(約120円)で売れるので、土を掘って商売をしている人がいます。 土を掘っていると不発弾がぼこぼこと出てくるので、まとめてJMASに回収を依頼します。 後方に小さくリヤカーのようなものが見えます。 タイヤとエンジンをつけて走るように改造されています。 |
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通りがかりにこんな光景を発見しました。 「おや、あれは不発弾では・・・?」 見ると、不発弾に竹をさして、ココナッツなどを割る道具にしていました。 「便利だよ、毎日使っているんだから」と村人は言います。 「危険ですから回収して爆破処理したいんですが」と隊員が説明しますが、村人は「これがないと困るんだ」といって譲りません。 結局、竹の棒を抜いて内部の火薬の有無を調べることになりました。 生活のために困るといわれては仕方ありませんが、調べてみて危険があれば回収、火薬もなくて安全と確認できたらお返ししましょうということになりました。 ところが、竹の棒が奥まで入り、なかなか抜けません。 引っ張ったり、削ったりでやっと抜けたと思ったら、中にも竹が残ってしまい、火薬の確認ができません。 |
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中を確認できないことにはなにがあっても返せません。 でも、生活に必需品だというなら、なんとかして中の安全を確認してあげたいと、隊員、鈴木専門家みんなで力と知恵をあわせること30分、ようやく中に残った竹も取り除くことができました。 内部をライトで照らして念入りにチェックします。 最終的に危険はなしと判断され、村人に戻しました。 しかし、これは本当はなんとしても回収して爆破処理するべきものであります。 なぜなら、これを見た人が「大丈夫だ」と勘違いして同じように真似をする危険があるからです。 ただし、村人の生活がかかっていますから、承諾なしに回収するわけにはいきません。 村人に「他の人が真似をしないようによく考えてつかってください」と繰り返し説明し、一旦はお返ししておきました。 このように、不発弾による危険、事故、被害という背景にはいつも村人の貧しさという側面がつきまとうのです。 また日々の活動とは、こういったカンボジアの社会の状況を目の当たりにすることでもあるのです。 |
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午後の爆破処理作業です。 毎日、爆破作業をしている処理地で本日回収分の不発弾の爆破のための穴を掘っていると、別の隊員が二発の不発弾が土の上に置かれているのを発見しました(写真手前)。
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夕方作業が終了、各チームごとに戻り次第国旗に敬礼をし、作業終了とします。 |
以下、佐藤の感想です。
この日は、鈴木専門家の「村人の納得がいく作業をする、村人に安心してもらうために精一杯努力する、私たちは村人の協力なしでは毎日の活動がなりたたないのだから、村人への感謝をいつも忘れない」という熱い想いがひしひしと伝わってきた1日でありました。
誰よりも汗をかき、自ら鍬を振り、最後まであきらめないで粘り強く作業にあたる鈴木専門家の姿勢が隊員の意識を導いていくのだと思いました。
私も1日大変いい勉強になりました。
ひとつ心配は、暑さがだいぶ強くなっていますので鈴木さんも少ししんどいようにも見えました(ご本人は決して言いませんが)。
少なくとも週に一日は作業に同行せずに事務所でデータの整理にあたって、少し体をいたわってくださいとお願いしてきました。