「平和の鐘寄贈」第4弾
2012/5/9
「爆弾の鐘はもう要らない。僕らの学校に平和の鐘が鳴り響く」第4弾
2012年3月上旬、JMASのプロジェクトサイトであるシェムリアップ州、カンポット州そしてバッタンバン州を中心に、ライオンズクラブ330-B地区の皆様から頂いた学校の鐘の贈呈式を行いました。
カンボジアでは、不発弾が学校の鐘として使用されている学校が、まだまだたくさんあります。内戦を経てきた大人たちは、それは元々戦争に使われてい たものだと認識できますが、毎日授業ベルとして見ている子供達は、それを学校の外で見た場合、それは同じ不発弾であり、近寄ったり触ったりしてはいけない ものだと分かるでしょうか?
カンボジアでは地雷/不発弾の危険認識不足から起こる事故がまだまだ跡を絶ちません。そういった事故を防ぐ為に、カンボジアJMASでは、学校の鐘として不発弾を使用している学校に行って、不発弾と平和の鐘を交換する取り組みを行っております。
今回、ライオンズクラブ330-B地区の皆様のご支援により14個もの「平和の鐘」を頂き、各学校で授業ベルとして使用されていた爆弾の殻、あるいは薬筒等と交換することができました。
今回、不発弾を学校の鐘として使用している学校を調べたところ、カンポット州では6校、アン コールワット遺跡のあるシェムリアップ州では28校との情報がすぐに上がってきました。中でもシェムリアップ州チクラエン郡では、なんと情報の半分に当た る14校にて不発弾が使用されていました。チクラエン郡はシェムリアップ州の中でも、最も不発弾による被害者が多いと 言われる地域です。今回はそのうちの被害者の多い優先地域から4校を選び、贈呈させて頂きました。
今回、私たちが鐘と交換できた不発弾には「爆弾」の殻、それから「薬筒」もありました。
中をくり抜いただけのものから半分に切り落とされているもの、様々な状態の不発弾が、各学校に鐘として存在していました。
学校に到着したら、まず早速、鐘と取り替える準備を行いました。
まずは鐘として使われている不発弾の回収です。回収されたものは、車に積み、後ほど爆破処理されます。
3人、4人がかりで持ち上げます。「せーのっ!」
中には鐘を吊るすワイヤーが木に食い込んでしまったものまでありました。ずっと鐘として使われてきた年月の長さが伺えます。
無事回収できたら、今度は鐘の設置です。一個20キロはある鐘 、これもなかなか重いです。
不発弾と平和の鐘を無事交換!交換後は「平和の鐘」の前で皆で写真撮影。
「カーン、カーン」と鳴り響く、「平和の鐘」。
「新しい鐘の音はどうですか?」各学校で生徒達に聞いてみました。すると、皆、恥ずかしそうにしながらも、どこの学校でも必ず「ピールォッ」(いい音がします)と答えてくれました。
「綺麗な、新しい鐘が来て良かったね」「うん、うれしい!!」
普段、危険回避教育により地雷/不発弾の危険性を訴えているJMASにとって、学校は最高の教育の場です。「不発弾を平和の鐘と交換したことを、よ り心に刻んでもらう為にも教育を実施しよう!」と、鐘の交換後に各学校で危険回避教育を行いました。その際、平和の鐘と共に贈呈して頂いた「危険回避ポス ター」も配らせて頂きました。
毎日不発弾を相手に汗を流す専門家も、この日は未来の担い手たちに直接語り掛けました。
「今日は平和の鐘が学校に届きました。世界からカンボジアの国の平和を願ってくれている人たちからのプレゼントです。どうしてこの鐘が届いたのか分 かりますか?それは、私たち一人ひとりが地雷/不発弾による事故に気を付け、家族も友達も、みんな毎日一緒に安全に暮らせるようになる為です。これからも 地雷や不発弾をみつけたら、絶対に触ったり近付いたり
してはいけませんよ。今日はこの平和の鐘の前で、みんなで約束しましょう!」
子供達への危険回避教育が終わった後は、先生達にも「不発弾を発見したら、JMAS、CMAC、あるいは警察に通報して下さい」と協力をお願いしました。
「この付近で不発弾に遭遇したことはありますか?」
「私はありませんが、子供達から近くに不発弾があると聞いたことがあります」
「発見したら、近付かず、こちらに通報して下さい。すぐに回収しに来ます」
また、各校長先生にも「これはどこからの支援で、何の為に支援されたのか」を理解して頂きました。
今回、平和の鐘の贈呈により生徒・教員を含めた約5000人の人たちに、地雷/不発弾の危険性を訴えることができました。今回贈呈された平和の鐘は各13校にて、毎日美しい音
色を響かせると共に、これ以上犠牲者を増やさないよう、子供達を見守ってくれることでしょう。子供達は皆、キラキラと輝く新しい鐘を見て「キレイ!」と 言ってくれました。子供達がこの鐘に親しみ、いつも身近にあるのが不発弾ではなく「鐘」になることが、早くカンボジアの学校の普通の風景になってくれるこ とを願って止みません。
今回たくさんの平和の鐘のご支援をして下さったライオンズクラブ330-B地区の皆様、本当にありがとうございました。
報告者:プノンペン 新井智恵