コロール州周辺海域における不発弾(ERW)処理事業(第2期)

日本NGO連携無償資金協力完了報告書

 

  事  業  名  

コロール州周辺海域における不発弾(ERW)処理事業(第2期)

  事 業 期 間

2014年3月1日 ~ 2015年2月28日

事業の概要と成果
(1) 上位目標の達成度     

ア コロール州マラカル湾に沈む旧日本軍徴用船(通称ヘルメットレック)にある爆雷中、105発の爆雷について、ピクリン酸漏洩

 防止措置を施した。

  この結果、酸性度の改善、透明度の増大、魚影数の増加等、ヘルメットレックにおける水質等が改善し、安全な生活環境の

 確保に寄与することができた。

 

イ ヘルメットレックの2発の信管付爆雷については、投射台から切り離し、密封処理を行った。爆雷処理実施についての細部

 調整交渉の途次であるため、現在、爆雷処理のためのオペレーションは保留された状態であるが、爆雷移送時における安全

 性確保のための処理は完了させることができた。

 

(2) 事業内容 

ア ピクリン酸漏洩防止処理

  第1期事業の探査結果、ヘルメットレックにおいて確認された1654発の爆雷中、ピク倫さ漏洩防止処理を必要とする77発の

 爆雷について、水中硬化型防食材により亀裂の補修処置を進めてきた。補修処理は、船尾に近い第3船倉(水深約20m)から

 行い、昨年11月から第2船倉(同約30m)に移行した。同処理作業の進展に伴い、新たに補修を要する爆雷28発が確認され

 たため、補修処置を与する爆雷は合計105発となったが、2月6日をもって、この補修処理を全て完了した。

 

イ 信管付爆雷の爆破処理準備

  爆破処理の対処となるヘルメットレックの信管付爆雷2発については、昨年5月以降、投射台に固着している爆雷を投射台

 から切り離し、ビニールとフィルムで被覆、更に水中硬化型防食材により完全密封し、昨年7月17日、爆雷を爆破場に向けて

 移送するための準備を完了した。同爆雷2発はヘルメットレック後甲板に並置している。

 

ウ 爆破処理の延期及び米海軍の技術支援要請

  然るに、爆雷処理を担当するCGD(注1)とMOUについて協議している間、昨年6月、7月の検事総長代行主催の会議に

 おいて、「ヘルメットレックの爆雷の搬送及び爆破オペレーションには、国際地雷処理基準(IMAS)の安全措置に則り、第三

 者賠償責任保険の付保については、早期契約は困難であったが、本年2月1日付をもって英国の保険会社と契約を締結す

 ることができた。また、パラメディックの配員については、日本から3名のパラメディックを昨年10月1日以降、交代で配員した。

  他方、信管付爆雷の送気爆破処理の必要性から、昨年12月、パラオ政府は、米海軍爆破処理マリアナ分遣隊(US Nevy

 EOD Detachment)から爆破処理に対する技術支援を受けるため、在パラオ米国大使館を通じて要請を行い、現在調整

 が行われているところである。

 

   注1: CGD(Cleared Ground Demining)は英国に本部をおくNGOで、パラオでは主にペリリュー島で不発弾処理

       活動を行っている。

 

エ 技術移転

  コロール州レンジャー隊員及びこれに準じた資質を有する現地雇用の潜水作業補助者(レンジャー隊員等)に対し、技術

 移転計画に基づき技能訓練を実施した。

 

(3) 達成された成果

ア ERW処理数

  2月6日までに、ヘルメットレックにおける105発の爆雷のピクリン酸漏洩防止処置を完了した。これに爆破処理のための

 移送準備を完了した爆雷(信管付)2発を加えると処理数は合計107発である。

  細部は下記のとおり。

 第1期事業 処理数   第3船倉         4 発 

 

 

 第2期事業 処理数

 第3船倉        76 発
 第2船倉       25 発
 投 射 台        2 発
合      計      107 発

  

イ 海洋汚染の減少

  ピクリン酸漏洩防止処置の完了に伴い、次のとおりヘルメットレック周辺の水質に改善が見られる。

(ア) 現在、いずれの爆雷からもピク倫団の漏洩は認められない。

(イ) pH値は、第2期事業水中処理作業開始時(昨年4月1日)に比較し、同作業完了後(本年2月19日)、酸性度が低下。

   区   分      2014年4月1日     2015年2月19日  

第2船倉 pH値

6.80 8.07
第3船倉 pH値 6.82 8.10

  

(ウ) ヘルメットレックにおける透視度が増大し、また魚影数も増加。

 

ウ レンジャー隊員等に対する技術移転

  レンジャー隊員2名に対し汚染水域潜水器による潜水訓練を実施し、レベル5の技術を習得させた。また、潜水作業補助

 者1名に対し、潜水作業の実務を通じた訓練により、レベル1及び3の技術を習得させた。

 

(4) 持続発展性

ア ERW処理技術の移転

  JMASのERW処理専門家のERW探査及び処理に関する技術を現地レンジャー隊員等に訓練を通じて移転し、ERW

 探査・処理の補助者を育成する。

  JMASの撤退後は、技術移転を受けたレンジャー隊員等が指導者となって他のレンジャー隊員等に対するERW探査・

 処理技術の訓練を行い、州政府として持続的な簡易なERW処理・探査を実施できる体制を整備することが期待される。

  なお、従来、技術移転対象のレンジャー隊員は2名であったが、同隊員を6名まで拡充すべくコロール州レンジャー局と

 調整中である。

 

イ UXOWG(注2)への助言

  UXOWGへERW処理に必要な助言を行うことによって、JMAS撤退後、UXOWG独自でERW処理計画等の策定を

 実施できることが期待される。

 

   注2: UXOWG(Unexploded Ordnance Working Group)は、パラオ政府関係省庁からの職員約10名から

       成る不発弾ワーキンググループ。