チャンパサック県パクソン郡等における不発弾処理事業(官民連携事業第3期)

2016/8/25

チャンパサック県パクソン郡等における不発弾処理事業(官民連携事業第3期)

事業期間:2013年8月5日~2014年8月4日(延長事業期間:102日間、2014年11月14日まで)

 

事業概要と成果

(1)上位目標の達成度

本事業は「安全な生活環境及び地域経済活動環境をつくること」を上位目標としており、事業期間中に200haの農業予定地から不発弾を除去して安全化し、地域住民が安心して農作業に従事できる環境を造り上げた。今後、安全化された農業予定地において、本邦企業により生薬原料の栽培が行われることにより、多くの地域住民の雇用が創出され、地域住民の生活向上や地域経済の振興に貢献していくものと予想される。

 

(2)事業内容

農業予定地200ha、深度2mまでの不発弾探査を行い、発見された不発弾を除去して農業予定地を安全化した。

実施の概要

(ア)不発弾の探査

・探査地域の測量及び径始

境界の確認、測量、境界線の啓開を実施

・伐 開

 鎌・伐採機により概略の伐開をした後、高さ10cm以上ある草・灌木を刈り取り

・探 査

 浅い深度探査(30cm)次いで深い深度探査(2m)を実施

・掘 削

 探査により反応があった箇所を掘削し確認

(イ)探査の結果、発見された不発弾の処理

クラスター爆弾子弾や20ミリ機関砲弾など不発弾129発を処理した。また、爆弾・砲弾の破片1848個、薬莢2001個、弾丸405個、金属片3,056個を発見、回収した。

(ウ)記録

・探査地域の記録

・発見不発弾の記録

・処理回収状況の記録

 


(3)達成された成果

(ア)農業予定地200haの安全化

計画面積200haに対し、チャンパサック県パクソン郡パヌワンドン村(A)23.9ha、パヌワンドン村(B)66.5ha、サラワン県サラワン郡ナトゥ村57.6ha、パオ村(A)40.9ha、パオ村(B)11.1ha、合計200ha、深度2mまでを安全化し、この土地で安全に生薬原料栽培を実施出来る環境を整えた。また、今事業では、伐開作業のため延4490人の住民を雇用し、地域経済の活性化に寄与した。安全化した農業予定地では、本邦企業が農場整備を行い、従来作物より付加価値の高い生薬原料栽培を実施しており、これらの作業のため多くの雇用が生み出されている。地域住民に安定的な現金収入をもたらすことにより生活水準の向上や貧困の削減に寄与した。

(イ)不発弾処理技術に関する助言

不発弾処理現場に置いてJMAS不発弾処理専門家がラオス人処理員60名に対し、不発弾処理技術及び管理業務について指導・助言を行い能力の向上を図った。3年間の事業期間の中で、2013年9月にラオス国内の不発弾処理の全般指導を行う不発弾処理国家統制機構(NRA)による不発弾処理業務総合検査を受けたが、問題点なしとの評価を受け、 JMAS専門家による日頃の指導・助言が成果を上げていることが確認できた。

(ウ)調整会議の実施

2014年3月5日、サラワン県サラワン郡役場においてサラワン県及びチャンパサック県の関係機関の参加を得て調整会議を実施し、2014年7月21日、サラワン県ラオンガム郡薬草栽培地において関係機関の参加を得て3年間の事業成果確認を実施した。これらの会議を通して事業に対する理解と協力を得るとともに我が国の貢献をアピールすることができた。

 

(4)持続発展性

(ア)安全化した土地の有効活用

2011年6月事業開始以来3年間で延べ607ha(チャンパサック県285ha、サラワン県322ha)の安全化を達成したことにより、安全な作業環境が整えられ、1年目(実施期間:2011年6月3日-2012年6月2日)の事業地サラワン県ラオンガム郡トンスイ村では、2012年2月から2014年11月までの間に、延べ132,000名余りの雇用が創出された。また、2年目(実施期間:2012年7月20日-2013年8月4日)の事業地チャンパサック県パクソン郡パヌワンドン村では、2013年12月から2014年11月までの間に、延べ9,000名余りの雇用が創出された。今後ともチャンパサック県及びサラワン県では、長期にわたり雇用が確保され、地域住民の生活向上や地域経済の振興に寄与していくものと期待されている。

(イ)不発弾処理技術に関する助言

事業間に発見された129発の不発弾の処理に際しては、上級技能者を重点として識別・処理等について指導・助言し処理技術の向上を図った。