平成24年度アッタプー県における不発弾処理促進事業(第2次)

2016/8/25

平成24年度アッタプー県における不発弾処理促進事業(第2次)

事業期間:2012年8月2日~2013年8月1日

 

事業の概要と成果

(1)上位目標の達成度

    本事業は、「地域住民の生活基盤の安定と生命安全の確保」及び「不発弾処理技術の向上による犠牲者の減少」を上位目標とし、不発弾汚染地域5個郡46ヵ村131haの安全化を実施した。また、JMAS専門家がラオス不発弾処理機関アッタプー県支部(以下UXO Lao-ATP)隊員に不発弾処理技術移譲を実施し不発弾処理技術が向上されたことにより、安全かつ効率的に不発弾処理が行われ地域住民の安全性が向上された。前年度に引き続き2012年度もアッタプー県における不発弾による犠牲者はゼロだった。

 

(2)事業内容 

(ア)不発弾処理活動

UXOLao-ATPの6個処理チームと協同で不発弾処理活動を実施した。

(イ)技術移譲

(a)不発弾処理技術移譲

UXO Lao-ATP隊員が、JMAS専門家の不発弾処理技術を修得し不発弾処理を安全かつ効率的に実施し得る基盤を構築するため、年間計画を作成し、不発弾処理現場を教育の場として、学科(計画教育)と実技(OJT)での教育を行った。特に、実技(OJT)の指導に重点を置きUXO Lao-ATPの処理チームを主対象として不発弾処理技術移譲を実施した。また、随行指導による不発弾処理技術移譲を実施し大型爆弾等の不発弾処理教育を集中的に行った。

 

(3)達成された成果

(ア)不発弾処理

不発弾汚染地域5個郡46ヵ村131haを安全化し地域住民の生活環境の改善を図った。目標巡回村数:5個郡42ヵ村に対し110%の達成率であり、目標面積に対し93%の達成率であった。大量の爆弾破片が地中に残っていたため探査・回収に時間を要し又、不発弾処理地がアッタプー県のはずれにある遠方地になり通常より多くの移動時間を要した為、処理面積では目標に達しなかったが、目標より多くの村を回ることが出来た。また、大型爆弾17発、クラスター爆弾子弾(爆弾子弾)1,165発、砲弾等440発の不発弾処理を行った。安全化した土地は、93haが新しい農耕地として利用され生産高の向上に寄与し、38haは村の拡張や新規の村づくり、公共施設などとして利用され地域住民の生活基盤の構築に寄与した。

(イ)技術移譲

(a)不発弾処理技術移譲

JMAS専門家は、UXO Lao-ATP隊員72名(中間報告時に対象者を69名から72名に修正済み)に対して不発弾処理技術移譲を実施した。年間実施目標合計258回に対し257回を実施した。(達成率:99.6%)主対象である6個処理チームでの隊員評価結果では、上級不発弾処理技能者(以下SEOD2名、チーム・リーダー6名、一般隊員54名は、それぞれの目標レベルに到達しており技術移譲は達成できた。また、UXO Lao全体に対する不発弾処理技術移譲の基盤を構築するため、アッタプー県と同様に、大型爆弾等が多く発見されている南部2県(セーコン県・サラワン県)のUXOLao隊員(SEOD)4名、及びUXO Lao全体の教育を行っているトレーニング・センターの教官等4名への研修を2回実施(2回とも爆弾カット試験を研修)し、UXO Lao全体に対してJMAS専門家の技術の普及に努めた。

(b)その他

・事業の円滑な実施を図るため、アッタプー県で調整会議を開催し、副知事等に対し、事業の現況説明、不発弾での事故事例などを説明し、不発弾処理活動への理解を得た。

・国家調整委員会(NRA)Phoukhieo CHANTHASOMBOUNE長官が2回目の爆弾カット試験を視察し、大変有効な技法であるとの所見を頂いた。これがラオスのUXO処理施策に反映されていくことにより、不発弾処理の安全性の向上と効率化が期待される。

 

(4)持続発展性

(ア)不発弾処理

本事業において不発弾処理を行い安全化された土地が、既に田圃、畑に利用されており安全な農業用地を確保したことにより生産性が向上した。また、麻薬患者療養施設等の公共施設用地としても利用されており生活環境改善に寄与されている。今後、次期事業においても不発弾処理汚染地域の処理面積目標を145haに設定し、住民の生活の安定、教育環境や生活環境の改善に寄与させる。

(イ)技術移譲

(a)不発弾処理技術移譲

引き続き次期事業の教育実施計画を作成し、不発弾処理技術移譲を実施するとともに、事業の終末に不発弾処理技術判定を行い、UXOLao-ATP隊員の不発弾処理技術の向上を図る。

(b)UXOLao-ATP内での訓練体制の確立

SEOD及びチーム・リーダーに不発弾処理技術移譲を実施し、自らUXOLao-ATPの隊員に対する不発弾処理技術教育・訓練を実施し、訓練体制の基盤が構築されることが期待できる。

(c)UXO Lao全体への不発弾処理技術移譲の基盤構築

南部2県(セーコン県・サラワン県)のUXO Lao隊員(SEOD)、及びUXO Lao全体の教育を行っているトレーニング・センターの教官への研修を実施し、UXO Lao全体に対する不発弾処理技術移譲の基盤を構築し、今後、JMAS専門家の技術がUXOLao全体に普及されることが期待できる。