平成24年度「ラオス・チャンパサック県パクソン郡における不発弾処理事業」

2015/3/23

平成24年度事業完了報告

チャンパサック県パクソン郡における不発弾処理事業
 1. 事業期間:2012年7月20日~2013年8月4日

2.事業の概要と成果

 

(1)上位目標の達成度・本事業は「安全な生活環境及び地域経済活動環境をつくること」を上位目標としており、農業予定地200haを安全化したことにより、同地で働く 住民が安心して農作業に従事できるようになった。また、農地予定地が安全化されたことで、今後、本邦企業が生薬原料を栽培知る過程において多くの地域住民 の雇用が創出され現金収入がもたらされ地域の経済活動が活性化するものと予測される。(2) 事業内容農業予定地200haを深度2mで不発弾の探査を行い土地の安全化を実施した。
(ア) 不発弾の探査
・探査地域の測量及び径始
  チャンパサック県パクソン郡では、郡から指定があった土地の基準点を基にして境界の確認、測量、境界線の啓開を実施
 ・伐 開
  鎌・伐採機により概略の伐開をした後、高さ10cm以上ある草・灌木等刈取を実施
 ・探 査
  1次探査を深度30cmで行い、2次探査を深度2mで実施
 ・掘 削
  探査により反応があった際は、掘削、確認、除去を実施
  安全化した土地からは不発弾は発見されなかったが、爆弾・砲弾の破片31個、薬莢256個、弾丸91個、金属片1,687個を発見・回収
(イ) 探査の結果、発見された不発弾の処理
(ウ)  記 録
・伐採地域の記録
 ・探査地域の記録
 ・発見不発弾の記録
 ・処理回収状況の記録(3)達成された効果(ア) 計画面積200haに対し、チャンパサック県パクッソン郡バーヌアンドン村周辺195.1ha、サラワン県ラオンガム郡トンスイ村周辺4.9ha、合計200haを安全化し、今後この土地で安全に生薬原料栽培を実施できる環境を整えた。
・土地の確保:200ha中200ha
・伐開面積:計画200ha中200ha
・探査面積:計画200ha中200ha
今事業では、伐開作業において延3030人の住民を雇用し、現金収入をもたらすことで地域の経済活動活性化に寄与した。現在、安全化された土地はブルドーザーの整地作業が行われており、今後、整地作業及び農作業のため多数の地域住民の雇用が見込まれる。
なお、前事業で実施したサラワン県ラオンガム郡トンスイ村では、本邦企業が生薬原料栽培を開始して、2012年7月から2013年6月までの間に、農業用地としての整地作業及び農作業のために約36,000名の地域住民の雇用が創出され、地域経済の活性化に寄与した。
(イ)  不発弾処理技術に関する助言
不発弾処理現場に置いてJMAS不発弾処理専門家がラオス人処理員60名に対し、不発弾処理技術及び管理業務についての指導を行い能力を向上させた。 2013年6月には国家調整委員会(以下、NRA:National Regulatory Authority)Phoukhieo  CHNTHASOMBOUNE長官の視察を受け、事業が安全確実に行われているとの所見を頂いた。また、2013年9月NRAによる不発弾処理業務総合検 査を受けたが、問題点なしとの評価であり、専門家の日頃の指導の成果が発揮された。
(ウ) 調整会議の実施
2013年2月14日、パクソン郡役場においてチャンパサック県副知事を始め県当局関係者等の参集を得て調整会議を実施し、本事業の目的、意義などについ て説明した。また、今事業では農業予定地の取得に関する遅れがあったが、会議において事業計画や期間について説明を行い、土地確保の課題に対しても期限を 設けて解決するよう直接依頼したことで、関係機関の理解、協力を得ることが出来た。(4)持続発展性(ア) 安全化した土地の有効活用
 安全化した農業用地は、チャンパサック県及びサラワン県が本邦企業に長期間貸与し、従来の作物より付加価値の高い生薬栽培が行われている。栽培には人手 を必要とするため、多くの雇用が創出される。地域住民が安定的な現金収入を得ることが出来ることで農民の生活水準が向上するものと予測される。チャンパ サック県及びサラワン県からは、地域経済の活性化や貧困からの脱却が期待されている。