平成25年度「カンボジア北中部州における不発弾処理促進事業(第3期)」

2015/6/18

2013年度カンボジア北中部州における不発弾処理促進事業(第3期)」

 

1. 事業期間: 2013年10月19日~2014年10月18日

2. 事業の概要と成果

(1) 上位目標の達成度

 不発弾処理要員の能力向上と学校及び住民への危険回避教育により、不発弾処理の促進と被害の未然防止を図り、民政の安定に寄与し地域復興を支援する。

 

(2) 事業内容

ア 技術移転

(ア) OJT

 月間目標を定め、識別、各種不発弾に応じる処理要領と安全管理、SOP及び基本動作の確行等について162回実施した。

(イ) 講義

 火薬・爆薬の組成、信管の構造・機能、信管の使用区分、不発弾の経年変化、モニタリングの結果等について各週1時間程度計40時間の講義を40回実施した。

(ウ) ワークショップ

 2月と7月に計2回TCにおいてワークショップを開催した。

(エ) モニタリング

 CMACと合同で編成内容及び編成外のチームを3月と8月に2回実施し、JMAS独自の編成内を6月に1回(通常のオペレーション中に実施)の計3回実施した。

イ 不発弾処理

 CBURRからの情報提供6,331件に基づき、計27,073発の不発弾を処理した。

ウ 危険回避教育

 専門家により、学校は特に教師を重点に162回、住民51回の計213回行った。(参加者は30,201名)また、CBURR要員等による機会教育を4,634回行った。

(3) 達成された成果

ア 技術移転

(ア) 裨益者は事業編成内のEOD要員20名及び事業編成外のEOD要員50名(申請書では33名)及びCBURR18名である。

(イ) 素養試験及び修了試験の平均結果は、スーパーバイザー87.5点と90点、チームリーダーが84.5点と89点、チームメンバーが82点と87点であり、80%の年度目標をクリアしている。またモニタリングの成績も着実に向上し、目標をクリアしている。

(ウ) 2回のワークショップにおいて計50名の編成外のEOD要員に対し安全管理、不発弾の識別、ディアマー用弾薬の改造要領及び信管破壊法について教育を実施し所要の能力の向上を図った。昨年度JMASが初めて作成したマニュアル(ガイドブック)に基づき、EOD要員には初となるディアマー用弾薬を使用して、ディアマーによる信管破壊要領及びロケットレンチによる爆弾信管離脱要領を教育した。また、昨年度の大型爆弾改修時の経験を生かし、JMASが従来から保有していた弾底信管用アダプターレンチを弾頭信管にも使用できるよう改良し、その使用法についても教育した。

(エ) 裨益人員 70名(申請書では53名)

 ・事業編成内EOD要員20名 

 ・事業編成外EOD要員50名

イ 不発弾処理

(ア) 1月末に子供3人の死亡事故が発生したコンポンチュナン州コンポン・レン郡(JMASの担当区域ではない)などで長期間放置されていた不発弾の回収・処理を実施するなど27,073発の不発弾を処理した。(CMACが定める目標数は18,000発)CBURR要員からの処理要請は6,331件であり、今プロジェクト終了後も、CBURRが構築したネットワークが有効に機能すると期待する。

(イ) 州の汚染者約1,462,793人のうち活動した地域の住民等約3,736,198人が裨益した。また、直接的ではないが、活動州の死傷者数は2012-2013年に43名、2013-2014年は33名と少なくなっている。

ウ 危険回避教育

(ア) 専門家による計画教育は213回(小学校:135校、中学校:22校、高校:5校、村:51村)で参加者30,201名に対して実施した。この数字は例年より増していることから、被害未然防止の効果が期待できる。これまでのJMASの危険回避教育が理解され、学校側も積極的にJMASの教育を受け入れ多数の生徒を参加させるようになった結果だと考えられる。CBURR要員等による機会教育は、4,634回で参加者126,827名に対し危険回避教育を実施した。なお、今年度から新たに導入した啓蒙バック及びボールペンは児童・教師等の高い関心を集めた。

 裨益人員(計画教育のみ): 計30,201名

 住民(地域代表含む)  : 3,987名

 教師         : 1,022名

 学生         : 25,192名

但し、アンケート調査は殆ど実施できなかった。その理由は、学校の先生から時間を要するため口頭で確認してほしいとの要望に応えたためである。

(イ) 1月末に子3人の死亡事故が発生したコンポンチュナン州コンポン・レン郡でJMASとして初めて危険回避教育を実施した。不発弾に関する定期的な啓蒙活動がこれまで行われておらず、不発弾等に対する知識が乏しかったが、危険回付教育を通じて知識を付与できた。

エ 広報

 JMAS事業を訪れた日本国内居住者、カンボジア居住者等の合計は、139名の計21回の見学に対応した。カンボジアにおける不発弾汚染の現状と、JMASの不発弾処理活動の概要を理解して頂いた。広報は重要であり、引き続き可能な限り対応する。

(4) 持続発展性

ア 技術移転後のEOD要員は、CMACの基幹チームとなって活躍することが期待できる。

イ 次年度の事業において2回チームを教導チームとして練成し南南協力を実施する場合の基幹となるリームとなる様継続指導していきたい。

ウ 2013年度に教育してきたJMAS管轄のEODチームに普及していくよう重視し計画する。