2013年度「バッタンバン州における地雷処理促進事業」
1. 事業期間: 2013年9月9日~2014年9月8日
2. 事業の概要と成果
(1) 上位目標の達成度
ア カンボジア地雷処理センター(CMAC)に技術を移転して、自立処理能力の向上に寄与
CMACに対し、機械と人力による統合処理、ランドリリースおよびマネージメントについて所要の地雷処理技術を移転し、自立能力の向上に寄与した。
イ 地域住民に対する安全性の増大に寄与
処理跡地において地雷事故は発生しておらず、地域住民の安全確保に寄与した。なお、8月3日事業地近傍のチサン村において対戦車地雷の触雷事故が発生し、住民1名が死亡したが、当団体の処理跡地ではなかった。
(2) 事業内容
ア 技術移転
統合地雷処理能力の向上、ランドリリース能力の向上及びマネージメント能力の向上を重点的に技術移転した。
(ア) OJT
a 現場指導
処理作業効率、工程管理、処理の品質管理、作業管理、補給整備管理、安全管理及びブリーフィング要領等の教育を合計64回実施した。
b 計画教育
機会と人力の統合処理、GPS使用法、問題解決技法等の教育を合計8回、168名に実施した。
(イ) 集合教育(ITTT)
各DU内のTSO、小隊長、班長等に対し、CMAC訓練センターにおいて指揮官用地雷処理ハンドブックの徹底、マネージメント能力の教育を2回実施するとともに、IMC処理現場において統合処理に関する野外実習を実施した。被教育者数は、50名/回で、合計100名に実施
(ウ) CMACと合同巡回評価
CMACと合同の巡回評価を1月にDU1.2.6の各小隊を評価した。
イ 地雷処理
ランドリリース方式に基づき、機械処理と人力処理の統合処理により301.3haの地雷原を処理した。(申請書は286haだがCMAC追加要請に基づき目標が291haとなった)
(3) 達成された成果
本事業期では、3ヵ年の最終年度として機械力と人力の統合処理、ランドリリース方式及びマネージメント技能を主要施策に定めて重点的に技術移転を行った。
ア 技術移転
(ア) 裨益者
事業編成内小隊長等16名、事業編成内・外の小隊長等350名、合計366名であった。(DU2内のBCチーム、DMチーム、CMACの全人力小隊数の総計は350名)
(イ) 素養試験及び練度評価
事業内小隊が対象の素養試験において年度当初は、平均85.5点であったが年度終了時には88点となり全員目標に到達した。また、各個人練度評価目標の80%に対し、全員の平均点は、80.4%であり、概ね目標に到達した。
※ 対象者16名中9名は、80%以上の練度を保持
(ウ) OJT
a 機械処理と人力処理の統合処理
主な管理者の内、第102小隊長は機械作業の限界を見極める判断力と作業優先順位の決定力、それに応じたディマイナー班造園等の対策策定については、更なる教育が必要である。
b ランドリリース
ランドリリースについての基本的な知識・技能が不足していた3名に対しても重点的に教育し、おおむね全員が修得した。
c マネージメント
全体的には、専門家の継続的な現場指導等により、マネージメント意識は向上した。
(a) 安全管理
各隊員の安全管理意識が高くなり、各級指揮官の現場における安全指導により、事故は皆無であった。
(b) 品質管理
今年度処理したすべての地雷原においてCMAC及びCMACのQA・QCチームの点検を受け、1件の指摘・指導事項も無くすべて合格した。
(c) 工程管理
各級指揮官の工程管理能力は、昨年度に比べ向上したが未だ個人差が大きい。また、処理作業における機械力(草刈機を含む)の効率的使用による作業効率を追求するための知識及び意識改革を、引き続き図っていく必要がある。
(エ) ITTT
CMAC DU1~6内の小隊長等、100名に対し指揮官用地雷処理ハンドブックの徹底、マネージメントの能力及び機械力と人力による統合処理に関する事項を教育して、特に、次の能力の向上を修めた。
a ハンドブックの内容について教育し、知識の向上を図るとともに、教育囚虜後の試験により、全員が80点以上の成績を修めた。
b マネージメント能力
主として、安全管理及び校庭管理について具体例を挙げて教育し、智意識の向上を図った。
c 機械と人力による統合処理
IMCのDM処理現場で、DMの性能・諸元、処理要領と特性、ディマイナー班との連携要領について目と耳で確認させ知識の向上を図った。
(オ) CMACとJMAS合同の巡回評価
各DU小隊長等、134名に対しランドリリース理解度、地雷処理管理要領及びブリーフィング要領を評価した。
イ 地雷処理
今年度の目標291haに対し、301.3ha処理した。約10ha増加したのは、当初計画されていなかったSVC道路建設用地を処理したためである。また、今年度合計でAT6個、AP76個、UXO172発、金属破片336,595個を処理した。
ウ 危険回避教育(参考)
事業近傍地の小学校、行政機関等を主対象に教育を合計35回実施した。(合計被教育者:1,516名)事業の終始を通じて実施した危険回避教育は、地元密着型教育として広報効果を含め、極めて重要であると考える。
エ 広報(参考)
JMAS事業を訪れた日本国内居住者、カンボジア居住者等合計68名の見学者に対応した。マスメディアは共同通信マニラ支局取材(世界情勢により掲載延期)、ディスカバリーチャンネル取材を(日本放映日2014年3月4日、アジア各国:3月17日)受けた。また、在カンボジア日本国大使館後援を受け、アルビレックス新潟プノンペンFCとコマツ小学生のサッカーイベントを開催した。
(4) 持続発展性
ア OJT、ITTT訓練等を通じてJMAS内小隊に対する技術移転は確実に進展したが、JMAS外のCMAC小隊に対しては限定的であり、以前として技術レベルの格差は大きい。このことは、JMASの技術移転が予定通り進展していることを示すとともに、常時作業現場において技術指導を行う専門家の有用性を示している。
3ヵ年の実績から、JMASは、CMAC小隊に対する技術移転を実施できる自信を得た。この技術移転を通じてCMAC自ら、技術力を高め作業能力を発揮することが可能となる。
イ 今年度からJMAS内小隊のサーベイチームでNTS(聞き取り調査)が実施できるよう練成したため、処理運用能力が飛躍的に向上した。今後、地雷処理小隊がマルチ能力を保有するようCMAC全組織に波及することが期待できる。
ウ DM及びBCチームを各小隊の編成下に入れ、各小隊長の式で機械処理を実施しているのはCMAC内においてはJMAS内小隊だけである。今後、JMASは、この機械と人力による統合地雷処理のための編成及び運用について前項のランドリリースを含め、CMAC他小隊に普及していくことを重視していきたい。
日本NGO連携無償資金収支表
団体名:特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会
事業名(実施国):2013年度バッタンバン州等における地雷処理促進事業(実施国:カンボジア)
自 平成25年9月9日~平成26年9月8日
連携無償 | . | |
【収入の部】 | ||
総収入 | 791,720.00 | |
【支出の部】 | ||
1 現地事業実施経費 | 718,653.77 | |
(1)直接事業費 | 264,518.55 |
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(ア) 資機材購入費 | 140,157.40 |
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(イ) ワークショップ等開催費 |
24,818.40 |
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(ウ) 専門家派遣費 | 99,542.75 |
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(エ) 研修員招聘費 |
0.00 |
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(2)事業管理費 | 453,960.22 |
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(ア) 本部スタッフ(駐在)人件費 | 41,368.45 | |
(イ) 現地スタッフ人件費 | 279,382.63 | |
(ウ) 現地事業所借料等 | 17,242.74 | |
(エ) 現地移動費 | 84,015.58 | |
(オ) 会議費 | 0.00 | |
(カ) 通信費 | 6,108.60 | |
(キ) 事業資料作成費 | 2,240.16 | |
(ク) 事務用品購入費等 | 6,412.83 | |
(ケ) 本部スタッフ派遣費 | 17,189.23 | |
(3)情報収集費 | 175.00 | |
(4)その他安全対策費 | 0.00 | |
2 現地事業後方支援経費 | 50,244.68 | |
(1)現地事業後方支援経費 |
50,244.68 |
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(ア) 本部スタッフ(事業担当)人件費 | 27,512.97 | |
(イ) 本部スタッフ(経理担当)人件費 | 20,141.99 |
|
(ウ) 会議費 | 0.00 |
|
(エ) 通信費 |
262.00 |
|
(オ) 事業資料作成費 |
1,615.54 |
|
(カ) 事務用品購入費 |
712.00 |
|
(2)その他安全対策費 |
0.00 |
|
3 一般管理費(直接事業費の5%) |
12,667.82 |
|
4 外部監査費 |
7,000.00 |
|
(1) 外部監査経費 |
7,000.00 |
|
(ア) 現地外部監査実施経費 |
7,000.00 |
|
(イ) 本部外部監査実施経費 |
0.00 |
|
総支出 |
788,566.27 |
|
残高 |
3,153.73 |